寄稿 ダニエル・K・イノウエ
寄稿 ダニエル・K・イノウエ

寄稿 ダニエル・K・イノウエ

ケリイ・マワエ。モロカイ島生まれ、モロカイ島育ちの純血ネイティブハワイアン。

卓越したフィッシャーマン、ハンター、ファーマー、そしてミュージシャン。先祖代々受け継がれたきた大地と海の教え、知識を豊富に持ち合わせた男。そして、今、その教えを次の世代に継承している男。

質素で、謙虚。必要とあらば分け隔てなく人々を手助けする関大な心を持ち、彼から教えを受ける人々の中には、社会において高い経済力や名声を得ている人も少なくない。

昔から知る人にも、初めて合う人にも同じように純粋な真のアロハを与えられる男。モロカイ島の名誉市長であるのは、当然のことであろう。

私がケリイに初めて出会ったのは10年以上も前のことだ。(訳注:この寄稿が書かれたのは2005−2006年頃)。
知り合いの家族経営農場のフェンス設置を手伝っているときのことだった。ケリイは肉体と精神両方において強靭で、それはパワフルな古代ハワイ戦士を彷彿とさせた。

彼の家と農場を訪問したとき、見渡せる限りの広大なフェンスを測量していた姿が思い出される。1日の測量ポイントの目印として、作業が終わった場所にココナツの木を植えていた。その作業は私たち2人にとった達成感あふれる誇り高き作業だった。

何年かが経過し、私は再びケリイの農場を訪れ、かつて2人で植えたココナツの木がどのくらい育っているのかを確認しに行った。しかし、実は、そのココナッツの木は、彼が農場で飼育している牛が食べてしまったことを私は知っていたのだ。

ケリイはその事実を私が知っているということには気付いておらず、さらにその事実を私が知ったらがっかりするだろうと気を使ってくれ、新しいココナッツの木を内緒でそっと植えておいたくれたのだった。

そうして植えられた新しいココナッツの木は、今度はしっかりと根付き、12フィートの高さにまで成長し日陰を作り、ココナッツの実をたわわに実らせ、バスケットや帽子などを作るための葉っぱもユラユラ揺れていた。

ケリイ・マワエを想うとき、ハワイアン復興のために生まれてきた男であると考える。

古代ハワイから継承されるライフスタイル、文化を現代においても実践し、積極的にアロハ・スピリットを他者に惜しみなく提供し、ハワイの歴史を現代という時間ですべて体現している。


本当の豊かさ、というものが「モノ」によって評価される時代ではなかった古代での生き方はとてもシンプルだ。

そうしたシンプルなライフスタイルを切望する気持ちは、実は現代に生きる私たちの誰しもが心のどこかに抱えている。

心の底から他者のことを気にかけ、観光客のための作られた「アロハ」ではなく、「生き方としてのアロハ」を惜しみなく提供し、継承しているケリイ・マワエはまさに、現代に生きる古代ハワイアンの最たる存在。

そのスピリットは威厳に満ち溢れ、古代ハワイの伝統文化に対する情熱的な信念と共に、生き続けている。

ダニエル・K・イノウエ
米国上院議員


(補足)
ダニエル・K・上院議員(Daniel K Inouye)(1924-2012)
ハワイ州から選出され、米国上院議員として50年近くに渡り在任し、最終的に上院仮議長に選出され、亡くなるまで同職にあった。日系人初の上下両院銀として、名誉勲章も受章。
彼の功績を讃え、2017年、ホノルル国際空港の正式名称が、「ダニエル・K ・イノウエ国際空港」に改称されたことで一気に日本人にとっても馴染みのある人物となったのではないだろか。

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