災害時の司会者としての覚悟と決断

昨日の災害時、私は、都内のホテルにおいて証券会社の3日間コンファレンス最終日、

英語MC担当で、海外から来日している証券取引所のレクチャー真っ最中でした。

スクリーンモニターを使用しているため、暗くなった会場で最初に揺れを感じた時には、

登壇者や会場の参加者も、まるで何も起きてないかのように、淡々とレクチャーを続けています。

揺れが少しづつ、少しづつ、でも確実に横揺れが大きくなってきた段階で、

私は演台前に立ち、会場後方にいるディレクターの動きを確認しました。

ディレクターも、状況を把握しようと様子をうかがっていました。

その数分後には、天井からぶら下がっているダウンライトが今にも壁の鏡にぶつかりそうなくらいの大きな横揺れとなり、巨大スクリーンモニターも大きく横揺れし始めました。

その段階で、私はディレクターの指示を待たずに、とっさの判断で会場の皆さんに

落ち着くこと、登壇者にはレクチャーを一時中断する合図を送りました。と同時に、

会場側も照明を明るくしてくれて、その頃には揺れはほとんどマックス時の状態になりつつありました。

瞬間、私の脳裏には、9.11当時の恐怖が蘇り、手は震えていました。

しかし、会場内の人々はどうしていいのか分からず、ただあまりの大きい揺れに当惑して、困惑して、みんなアクションを起こせずにいることが一目できました。

ですから、これまたディレクターの指示を待たずに、マイクを通じて、

「皆さん、今すぐ机の下に身を隠して下さい。Everyone for your safety, go underneath of the table immediately」的な発言をした記憶があります。(多分もっとラフでカジュアルにガナってたと思う・・笑)

その瞬間、会場内の人々は、ハッと我に返ったように即座に机の下に、一斉に身をひそめ、大きな揺れが続く中、状況を机の下で見守る形をとりました。同時に、登壇者も危険なので、会場の机の下に行くことを指示しました。

ディレクターは他の部屋と連携をとったりしていました。

私自身は、演台の下に隠れることなく、会場内の人々の様子を確認して、誰ひとりけが人や大きな事故にならぬよう、注意を払っていました。何しろ天井のダウンライトの揺れ、ビル全体の横揺れが激しく、いつ崩れてきてもおかしくない、とさえ、思いました。

正直、本当に怖かったし、その後もマイクを通じて常時、会場内の人々に落ち着いてもらうこと、会場スタッフと私たちの指示に従って行動すること、など思いつく限りの基本的なことをアナウンスしましたが、声は意識をしないと、震えてしまっていたし、手の震えもしばらく収まりませんでした・・・

ディレクターや主催者は反面、冷静にその後のセミナーの続行などについて、即座に協議検討、地震の最新情報の入手などに錯綜しており、その間、私は会場で、演台の傍から離れないようにして、いつでもマイクを通じて会場に案内を出せるように努めました。

他の部屋の司会者達がどのように対応したかは定かではありませんが、

幸い、ホテル自体、耐震対応だと言うことで、その後、エレベーターは一斉に止まりましたが、ホテルの防災センターからは、大丈夫です、というような館内放送が繰り返し流され、騒然としていたコンファレンス会場も落ち着きを取り戻していました。

その後の余震時に備えて、万が一の場合には即座に机の下に身をひそめること、天井のライトの下の座席には座らず、できるだけ会場中央や、後方出口付近に着席してもらうこと、地震の最新情報などを常時アナウンス。会場内の人々も、座席でワンセグなどで速報を確認したりしていました。

結局、その後余震が一瞬落ち着いた段階、3時半過ぎからコンファレンスはその後5時過ぎまで再開されました。

これも、私の独自の判断で、登壇者やレクチャーの紹介をする前には、「コンファレンス中余震など再度揺れが激しくなった場合には、身の安全を最優先に考えて行動して下さい」というようなコメントを入れました。

心配したディレクターが冷たい水を持ってきてくれたので(笑)、その頃には、少し自分も落ち着きを取り戻し、こうした案内を平常心で伝えることができました。

それにしても、やはり、こうした災害時の司会者としての任務も再認識し、とにかく常に平常心で冷静な判断と対応を迫られる、その責務を背負っていることを本当に実感いたしました。

本当に怖くて、声も手も震えていた私は、まだまだ精進が必要ですが、これも経験してみてわかった自分の新たな面。

危機管理能力をもっと上げて、現場に臨まなくてはならない、と決意を新たにしました。

まだまだ今後も余震余波、二次災害なども予測されます。どうか被災地周辺にお住まいの方はもちろんのこと、その他の地域、国にお住まいの方も、

今の自分にできることを、できる範囲で対応し、この災害が1日も早く回復に向かうよう、祈りましょう。

物的な支援やサポートだけではなく、メンタル的なサポートや、情報の共有、祈り、という目に見えないエネルギーを利用したり、必ず誰にでもサポートできる方法はあります。

こんなときだからこそ、情報を伝達する、という立場にいる私たち、言葉を扱う職業にいる人間としては、

正しい情報を正しい形で、適切なタイミングで伝えてゆかねばならぬ、と思います。

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