中国に拠点を置くエージェンシーから、メールが送られてきたのが、
日曜日夜、10時。
日本を訪問中の米国の企業担当者が、日本の企業との打ち合わせ、インタービューする際の通訳業務のオファーでした。
見積もり出してくださいな、とメールに書かれていて、その内容は、
特定の商材に関するものだったけれど、とりたてて、とっても深い専門用語がある、というわけでもなく、
という感じだったので、見積もり額を、最低$xxx~内容に応じて最高$xxxくらいじゃないですかね?と
返事。
そして、「ところで、この案件が実施される日はいつでしょう?」とメール返信しようと思ったら、
エージェンシーから再びメールで、
「Sorry I forgot to tell you that the start time is tomorrow.」
って。
え?明日?えっ?明日ですか??笑 いや、言うの忘れるの、おかしいでしょ。明日なのに。。笑
思わず、吹き出してしまいました。
ということで、結局、日曜日夜中の1時過ぎまでメールのやり取りを行い、
結局、今日、午後4時~都内のとある日本企業本社へお邪魔して参りました。
本当なら、午前中に、通訳を発注したクライアントさんから電話が来ることになっているらしいのだが、全然電話なし。
「えーっと、電話ないけど、現場に行って大丈夫?」とメール。
「大丈夫だと思うよ。」と返事。。。「思う?」確信じゃないのかしら?笑
その後、いろいろやりとりをしてみて分かったのが、
クライアントさん米国→米国内のエージェンシーに日本で通訳者派遣を依頼→中国のエージェンシーに依頼→私にオファー。という流れだったため、何しろ、情報伝達に時間がかかっておりました。
クライアントさんの携帯電話が送られてきたのが、すでに待ち合わせ時間の1時間前ですから。笑。
で、結局、任務は無事に終了しましたが、
その商材について、色々20ページ位、英語で情報を出力して理解をしていったつもりですが、やはり、
役員クラスの方との話は、時として、その業界の専門的な裏話なども登場したり、まだ、水面下で動いているプロジェクトなどのオフレコな話などは、私たちが一般的に知りえない話だったりして、
途中で、「もう少し具体的に教えて下さい、、」と日本企業側に説明を求める必要性もあったりしました。
しかも、現場で気づいたのですが、
日本企業側と、米国企業側は双方に、あらかじめ質問事項的なリストをそれぞれ日本語、英語で用意してあるじゃないですか!
しかし、結局そのリストは私の手元には渡ってきませんでした。ひぇ~(汗)。
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これこそが、日本と他国におけるプロフェッショナル意識の違いにも通じるところがあるのかな、と
再認識をした出来事だったりしましたが、
通訳のプロとして、依頼を受けた以上、日本語と英語において、その場で臨機応変に対応する高い対応力と、
機転が要求されることを、実感しました。
日本では、最後の最後まで業務にエージェンシーが細かく色々と指示をすることが多いですが、
海外のエージェンシーは、「プロとしてやっているのだから、一度仕事を受けたら、あとは責任もって、現場に行ってくれ」というスタンスなので、確認電話などもないし、内容的なことも、「まぁ、そんなに専門的なものはないんじゃない?大丈夫だよ、あなたなら」みたいな、他力本願的な対応で、
その割には、契約書には、きっちりと、業務内容がクレームにつながったときには、報酬やペナルティ対象です、とがっちりその責任を問われます。まぁ、これは日本でも当たり前ですが。。笑
私自身は、こういうある種、投げやりな対応のほうが仕事しやすいし、任されてその中で自由にやって、と言われた方が、気楽です。
でもなかなか、全てそこまで自力で対応するのに不安を持つ方もいらっしゃるかもしれませんね。こればかりは、スタンスの違いです。
しかも、今回、
「おそらく、このような内容の質問をするんじゃないのかな?」ということでエージェンシーから送られてきたリストを
クライアントさんに電車の中で見せたら、
「あーこれは違うわよ。これはね、夜に一般のユーザー達にインタビューする予定になってて、そのときの質問事項ね」と一笑。
おいおい。汗。エージェンシーさん。苦笑。
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そんな、ある種、めちゃくちゃな(笑)、業務発注でしたが、
ミーティング後に、「内容は満足行くものでしたか?」とクライアントさんに尋ねたら、
「Yes!!!You Did Great job! Thank you soooo much!!! 」と感謝をされて、ホッと胸をなでおろしました。
そして、クライアントさんは、今回急遽、前日夜に通訳を依頼することになった経緯を話してくれました。
一人お願いしていた女性は、声が潰れてしまったの。。あまりに頑張りすぎたのかしら・・・・。
そして、次に来た人は、通訳を本業にしていない人で、内容的にちょっと不満だったの・・・・。
そして、3人目のピンチヒッター?として、急遽呼ばれたのが私だったそうです。
だから、「機転のきく、頭の回転の速い通訳者を雇う重要性」を今回、身にしみて実感したし、勉強しました、、、
とクライアントさんも言っていました。
2人目の内容的に不満に思われてしまったケースは、やはり、ダメ出しされて当然かもしれませんし、
1人目の声が潰れてしまって、、継続不可能、、となってしまった方も、やはり、
自己管理能力、という点について、しっかりとコントロールできなかった結果のこと。
自戒を込めて、私もしっかりと、改めて帯を締め直す気分になりました。
業務に対して高い評価をしてくれたことに、感謝するとともに、
やはり、現場の人間が通訳者に求めているスキルの高さ、対応力の幅の広さも再認識した現場でした。
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通訳者も、バイリンガル司会と同じで、2カ国語を流暢に話せれば良い、というものではない。
ということを改めて実感しました。
良い勉強、良い経験。またひとつ、増えました。
現場の待ち合わせ場所に向かっているときに、電車の中から、中国のエージェンシーに、
「今とりあえず向かっていますので~。クライアントさんに、現場から電話で連絡とりますわ。」とメール。
そしたら、その返事が、
「It's great, Ryoko. Have a good afternoon.」ときたもんだ。
まぁ、基本はそうでしょうけれど。遊びに行くわけじゃないからねー。。。笑
そして、業務が終わったあとに、「終わりましたよ。クライアントさん満足してましたよ。取り急ぎ。」とメールしたら、
その返事が、
「It's great, Ryoko. Congratulations!」ときたもんだ。
あくまでも、エージェンシーとして、紹介はしたけど、その評価や結果云々は、私個人のもの。
というスタンスなのでしょうね。電車の中で、小さく、プププッと吹き出しながら、帰路につきました。
良い経験を与えてもらいました。
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