パンの木「ULU」神話

 数年ぶりでしょうか。雑学ALOHAの記事を書くの・・笑。
 密かに楽しみにされている方もいらしたのに、すっかりご無沙汰してしまっておりました。

 久しぶりの雑学ALOHAは、ブレッドフルーツ(パンの木)「ULU」について。

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 自然界の神である「KU」がハワイに来て、ハワイの女性と結婚し、長年一緒に暮らし、家族を沢山授かりました。
 しかし、彼は自分が「神」であることを結婚したハワイの女性(妻)には黙っていました。
 他の人と何ら変わりなく、地元で働き、普通の生活をしていたのです。


 飢饉の時代が到来して、人々に十分な食糧が手に入らない時代になったとき、KUの妻と子供たちも同じように飢餓に耐えていました。
 KUはとても辛い気持ちでした。

 KUはたまりかねて、妻と子供にこう言いました。
 「みんなに十分な食糧を手にいれてくるよ、しかし、長い長い旅になるであろう、そして、おそらくみんなの元には帰ってくることはできないだろう」と。
 
 最初は、妻は、彼のそんな決断を聞き入れませんでした。
 しかし、子供が飢えで泣き叫ぶ声を毎日聞き、遂に、KUが食糧を得るために二度と戻らない旅へと出発することに同意しました。

 「庭に行くよ」KUはそう言うと、彼らの裏庭に行きました。

 そこで彼は、家族に、
 「私はこれから地球の中に消えてゆくよ、私が消えたこの場所からは食糧となる植物が生えてくるからね」。
 
 そう言うと、逆立ちをして、頭を土につけました。
 すると頭のほうから、KUは土の中に吸い込まれてゆくように、消えてゆきます。
 そして遂には、足の先までが土の中に消えていきました。

 妻は、彼が消えたスポットに毎日、涙と共に水を遣りました。
 
 するとそこから、小さな芽が出てきました。
 小さな芽が出てきたあとは、一気に成長し、芽はどんどん大きくなり、木になり、芽がでて数日後には、KUが約束したとおり、家族はたくさんの食糧を手にすることができたのです。

 それはパンの木でした。


 妻と子供たちは、たっぷりとKUが身代わりとなり与えてくれたパンの木を食べました。
 しかし、妻と子供たち以外の人々が、実を採ろうとすると、木は、あっという間に土の中にもぐって消えてしまいます。

 時が経ち、パンの木は、すっかり成長し、妻と子供たちは、株を分けて、近所の人々や友人たちに、苗をプレゼントしました。
 そして、やっと全ての人に、KUのギフトが与えられたのです。

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 これは1995年にハワイのビショプミュウジウムプレスに掲載されたものです。
作者は、Laura C.S.Green さんで、この物語は代々祖先から語り継がれてきた内容であったことを話しています。
 
 ハワイに来る前の起源はおそらく、タヒチまたはサモアに同じような神話の話が存在していたのであろう、とも言われています。
 そして、ハワイにこの神話が来たときに、植物がパンの木になったのであろう、というのが一般的のようです。

 ハワイで見られるパンの木は通常1種類のみで、学術名をArtocarpus Incisaと言います。
 その他の種類は、ハワイよりも東側の島々でよく見られるそうです。

 パンの木は、種から育つのではなく、吸枝によって繁殖する植物であるため、ハワイに移民をしてきたその他の島の人々によって持ち込まれたものである、と言う説が有力なのだそう。


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今では、キルトのパターンや、多くのハワイアン雑貨、アパレル商品などには必ずと言っていいほど登場するパンの木も、実は、家族の愛、飢えを凌ぐための最終決断として生まれた植物、、っていうところが、何とも哀愁漂うストーリーです。

パンの木のデザインを見るたびに、「私たちに十分な食糧を与えてくださりありがとう!」って思わず言いたくなりますね。言いましょう。みなさん、笑。

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次回の雑学ALOHAの題目は、
 ハワイアントラディショナル、 FEATHER について。
 ハワイ国だった時代、王様たちが身にまとっていた、ガウンのような洋服。
 これらは、外側は全て鳥の羽。

 今ではとっても貴重な存在となったFeather Work について。を予定しています。 

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